前回の記事( 8 電子遷移速度と光速度)を書いた後、更に、光の波長と周波数の検証作業を進めながら、ある事に気づきました。エネルギー体理論による素粒子模型の検証過程で、物質波があることは知っていました。しかし、「素粒子にも波の性質がある。」と言うこと以上に突っ込んだ検証作業をして来ませんでした。ところが、前回の記事以降、光の速度、波長、周波数の関係を検証しながら、”ド・ブロイ波が、エネルギー体理論の素粒子模型が運動する時に、素粒子の前方に生じるエネルギー体の波動のことを指している”と分かったのです。それは今更のことかもしれませんが、物理学の知識を持たない私が、エネルギー体理論と言う結論を背負って、物
理学の世界を逆旅しているために起こる珍事です。もし、エネルギー体理論を持っていなかったとしたら正道を歩むしかなく、私には先に進むことさえ困難だったかもしれません。しかも、ぴったり一致しています。一方、数式はありますが、ド・ブロイ波が何なのか、未だに具体的な姿が分かっていないのです。エネルギー体理論により、この具体的な姿が見えたのです。訳の分からない量子の世界が一本の線上に並んで見えてきました。まず電子を粒子の観点から見ます。特殊相対性理論により、電子は静止エネルギー E0 を持ち、次式で表されます。
また、運動する物体のエネルギー Eは、次式で表されます。
次に、電子を波動としてとらえます。運動する電子は、ド・ブロイにより、次式の波としてみなせます。
この式は、電子の運動量が波動とみなせることを表しています。つまり、電子の運動には、運動量としての波動が付き添っているのです。エネルギー体理論で、これまで何度も説明して来た慣性力の通りです。
今度は、光(電磁波)を見ます。エネルギー体理論では、光は、電子の姿勢の変化が静的エネルギー体に転写したものと説明しています。つまり、電子の前方に現れる静的エネルギー体のエネルギーの高まりが運動量であり、電子から離れて独立したものが光です。いわば、電子から離れたド・ブロイ波が光であると言えるでしょう。光子のエネルギーと運動量は、アインシュタインの特殊相対性理論と光量子説により次の式で表されます。
(Wikipedia 光子)
光のエネルギーと運動量pは、電子を波動として捉えたときの電子の運動量pと同じ式となります。光には、運動量と別に、わざわざ光のエネルギーと言っているのは、周波数とは独立したスピン角運動量があるからです。スピン角運動量は、エネルギー体理論の素粒子模型では、自軸を中心に回転する波動のエネルギーのことです。と言うことは、電子の運動量にも自軸を中心に回転する波動のエネルギーがある筈ですが、電子に付随している限り独立したエネルギーと見なさなくても良いのでしょう。
ここまで検証した様に、運動する電子の前方に生じる静的エネルギー体のエネルギーの高まりである波動が電子の運動エネルギーであり、そこから離れたものが光です。
-----------------------------------------------------------------------------------
参考 ここから
「ちょっと待ってください。エネルギー体理論では、運動する粒子の前後に静的エネルギー体のエネルギーの高まりが波動として生じるとしています。電子の後方に生じる静的エネルギー体のエネルギーの高まりである波動が無視されていますよね?」
「いやー、やはり知らないふりは出来ませんね。未検証ですが、次のパラドックスを見て下さい。このパラドックスに、電子の後方に生じる波動を加えるとパラドックスが解消するのです。」
しかし、無視していた電子の後方に生じる波動のエネルギーを加え
とすると、c=v となり、両者は一致します。
(注釈1:運動エネルギー(ド・ブロイ波)は、素粒子の前後に分かれて生じると考えていたが、後に前面だけに生ずると変更している。このパラドックスは十分検証していません。)
(注釈2:ここに図を掲げていましたが、エネルギー細胞体 7 (慣性力)と同じ図なので省略しました。)
参考 ここまで
----------------------------------------------------------------------------------
「[物質波] 1924年,ド・ブロイは光における波動と粒子の二重性を電子にまで及ぼすことを考え,電子は体内振動をもつ粒子だとしてボーアの量子条件に解釈をあたえた。この考えは,結局,エネルギーEと運動量pをもつ電子に振動数ν=E/hと波長λ=h/pの波動を付随させることに落ちつき,この波動は物質波ないしド・ブロイ波とよばれることになった。」(コトバンク> ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典> ド・ブロイ波とは)
「ド・ブロイ波が何なのかということについては、今まで何度も議論が交わされてきたはずである。ある人は、ド・ブロイ波は物質を運ぶ波である、と考えている。物質はド・ブロイ波に「波乗り」をして運ばれるのではないかという考えだ。それに対して、物質そのものがド・ブロイ波なのだ、という人もいる。しかし言うだけなら簡単だが、そのモデルでうまく計算が出来ることを示さなければならない。この議論は解決されないまま量子力学に持ち越され、波動関数とは何なのかという別の問題に置き換えられて今も続いている。」(EMANの物理学)
「物質はド・ブロイ波に「波乗り」をして運ばれる。」とは、エネルギー体理論による慣性運動と全く同じ説明です。同じことを考えている人は居るものですね。「物質そのものがド・ブロイ波なのだ。」と言う説明は、明らかに間違っていますね。ド・ブロイ波は、運動量だけを説明している筈だからです。そういえば、電子線の回折・干渉現象が観測されるのは、ド・ブロイ波の証拠とする説明がありますが、そうではなく、電子の自軸を中心に回転するエネルギー体の波動のためと考えられます。(注釈: ここで、私は「物質そのものがド・ブロイ波なのだと言う説明は、明らかに間違っている。」と書きましたが、言い過ぎでした。後日、物質も含めて、ド・ブロイ波を新ド・ブロイ波と呼ぶこととしました。)
100V程度の電圧で加速した時の電子のド・ブロイ波長は、約1ÅでX線の波長に近く、電子線を結晶に当てて干渉縞などを観測することによってド・ブロイ波の存在は確認される。1927年にニッケルの単結晶でクリントン・デイヴィソンらが、同じ年ジョージ・パジェット・トムソンも金属多結晶による 電子線の回折・干渉現象を見つけた。また、1928年には日本の菊池正士も雲母の薄膜による電子線の干渉現象を観察している。(Wikipedia ド・ブロイ波)