アインシュタインの光時計を光子模型で説明 |
1 要約
◎特殊相対性原理; 全ての慣性座標系は等価である。(Wikipedia 特殊相対性理論)
1. First postulate (principle of relativity)
The laws of physics take the same form in all inertial frames of reference.
2. Second postulate (invariance of c)
As measured in any inertial frame of reference, light is always propagated in empty space with a definite velocity c that is independent of the state of motion of the emitting body. Or: the speed of light in free space has the same value c in all inertial frames of reference. (Wikipedia Postulates of special relativity)
先ず、光時計の説明をする。光時計とは、ロケットの床とその真上の天井に鏡が設置されていて、床面の光源から出た光が天井の鏡に反射され、何度も往復する仕組みとなっている。ロケットは、慣性運動をしていて、高速度で進んでいるとする。この光が、光時計の中を往復する時間を、時間の単位として設定する。観測者は、ロケットの内側と外側で、光が光時計の中を上下に往復するのを観測して時間を測定する。
光が、光時計の中を上下に往復するのを観測する。
〇ロケットの外側の観測者
光時計を、ロケットの外側から観測するとどう見えるか? 光が往復する間に、ロケットは進んでいるので、光は斜めに進んでいるように見える。そのため、ロケットの内側の観測者が見た光の進んだ距離より、光は長い距離を進んだ様に見える筈である。光の速度は、何故か分からないが、どんな場合も300,000km/秒なので、光の進んだ距離を光速度で割った時間は、ロケットの外から見た場合の方が長くなる。つまり、同じ光の往復でも、外から見ると時間が長くかかっている様に見える。このことは、ロケットの内側は、外側から見るとゆっくり時間が進んでいる様に見える。このことを、図1で示す。
図1
光時計を床と天井ではなく、前方と後方の壁に設置すると、ロケットの外では、長さが縮んで見える。このことを図2で示す。
図2
2.4.1 光子の運動方向
ここからエネルギー体理論により説明をする。光源から出る光は、全天を照す。床に設置された光源を光子レベルの大きさまで拡大して見ると、光子はあらゆる方向に放射されていることが分る。そして、天井にある鏡にもあらゆる姿勢の光子が到着する。しかし、全ての姿勢の光子を検証する必要はない。検証すべき光子の運動方向は、時間の遅れの検証ではX軸方向(ロケットの進行方向)、長さの検証では、Z軸方向(ロケットの床から天井方向)をすれば足りる。
図3
光時計を光子レベルで検証する前に、エネルギー体理論では、光子がどのようなもので、どのように発生すると考えているのか説明する。
電子が陽子と結合して原子を形成しているとき、電子は、陽子の基底状態の軌道上にある。ところが、加熱などにより原子にエネルギーが加えられると、陽子の外側の軌道(励起状態の軌道)に一旦移る。そこから、一気にエネルギーを放出して、内側の軌道(基底状態の軌道)に遷移する。この時放出されるエネルギーが、光子である。標準理論では、光子はボソン(力を伝達する粒子)に分類される。エネルギー体理論では、光子を「電子の運動エネルギーが電子から分離したもの。」と捉える。この考えは、非常に重要で、「慣性運動は空間の引きずりである。」と説明するアインシュタインの相対性理論に整合する。それに加えて、光子は分離前の電子の慣性運動を引き継いでいることを自動的に表しているのである。
電子が運動を始めようとすると、その前面の空間に波動が生じる。この波動が、電子の運動エネルギーである。この波動は、平面波である。電子側が低エネルギーであり、向かい側が高エネルギーとなっていて、その形状を保ったまま空間を移動する。このため、高エネルギー状態の電子が、波動の低エネルギー部に引きずられて運動するのである。つまり、電子と運動エネルギーは、別のものである。電子が停止したり、運動の方向をかえたりすると、電子から運動エネルギー(波動)が分離して光子となる。その時、光子は、分離する直前の電子の慣性運動を引き継いでいる。電子の運動エネルギーであったのだから当然である。従って、慣性運動する、ロケット内の光源から放射された光子は、電子の遷移速度に加えてロケットの慣性運動もしている。なお、光子自身が運動エネルギーであるため、電子の様に運動エネルギーを伴うことは出来ない。物質粒子(フェルミオン)と決定的に異なる点である。
空間に波動が生じるのは、空間がエネルギー細胞体でできているためである。「場の理論」では、しばしば、場は、分かっていないが、小さなバネの結合体のようなものとするイメージを用いる。これは、空間に対する理解として、かなり的を射ている。エネルギー体理論では、空間はエネルギー細胞体で出来ているとする。生物が細胞で出来ているように、空間は素粒子よりも遥かに小さいエネルギー細胞体で出来ているのである。空間を構成しているので、エネルギー細胞体同士の間には隙間は生じない。エネルギー細胞体は、隣接したエネルギー細胞体とペアとなり、一方が収縮すれば、他方は膨張する。空間であるため、空間全体としては一定を保たなければならないからである。そして、この収縮と膨張は、振動となる。この振動が、波動となるとき運動エネルギーとなる。また、電子も、空間が励起したものである。空間の一点に向かって全天方向から加えられた圧力により、一点と全天方向とのエネルギー細胞体の収縮と膨張が行われ、更に加わった余剰のエネルギーにより、収縮と膨張がスピンしているのが電子である。スピンにより、電子の赤道部の収縮と膨張は土星の輪のように空間に広がっている。
陽子と結合したときの電子の姿勢も非常に重要である。電子は、電子の正面(広がり面)を陽子に向けた状態で陽子と結合する。電子と陽子のドブロイ波の波数が互いの整数倍になっていなければならないのは、このためである。そして、電子の運動方向も非常に重要である。電子の広がった正面を広げた方向に運動するのは、我々の日常感覚では想像しにくい。次の図に示すとおりである。
図4
図5
エネルギー体理論の光子模型で最も特徴的なのは、光子は、その広がり面(正面)の方向に進むことである。これを「光子の速度」と呼ぶ。「光速度」とは、別の概念である。エネルギー体理論で初めて分かった。「光子の速度」は、分離前の電子の運動エネルギーの速度と同じである。速度は、電子遷移のエネルギーにより変化するが、一例では秒速1,900kmもの速さになる。「光速度」は、秒速300,000kmで、慣性系に拘わらず一定である。光子の運動方法が、エネルギー体理論により初めて明らかにされたのである。
このことにより、現在広く認識されている光速度に対する理解を変える必要がある。現在の理解では、光子は、光源から観測者へ向かって進むとしている。ところが、エネルギー体理論では、観測者は光子の側面を光として観測するとする。このため、光子が放射されてから、光子の粒(光子の粒子部)ではなく、その側面が観測者に到達するまでの、距離と時間が「光速度」であるとする。そのことを図6に示す。
初めて、光速度が、慣性系によらず一定である理由が説明できた。ところが、「光速度C」と「光子の速度Cp」は一個の光子が持つ性質である。特殊相対性理論に適用するため、この二つの性質を同時に説明する必要性に迫られた。そこで、「光速度C」と「光子の速度Cp」を合わせ持つ光子の運動として特殊相対性理論に適用させた結果、光子レベルのミクロの世界では、ローレンツ因子に少し影響が出ることが分った。(6付帯議論: 参照)
ただし、このことは、光子1個に着目して光子を観測した場合である。光子の観測は、無数の光子が同期して形成する平面波の観測である。この場合に観測されるのは、「光速度C」だけであり、「光子の速度Cp」は観測されなくなる。
図6
図7
前節「2.3.3 光速度と光子の速度」を踏まえて、光時計の問題を考察してみる。観測者が光を観測するのは、光子の側面である。しかし、光子の側面が観測位置に入った瞬間に飛び去ってしまうので、これでは光子の裾野の遅れ(側面の曲がり)は観測できない。そこで、偏向した光子を考える。つまり、正面方向に運動する光子が一定の距離から連続して放射され、同期している状態である。光の観察はこの状態で行われる。図8のような平面波である。
図8
図9
前節の考察により、同期した光子群における光子の側面のしなり(遅れ)の回復過程は、ロケット内側の観測者にとっては、光子の側面が、床上の光源から天井の鏡にむかって、Lの距離を光速度Cで飛行しているように見える。その時間をt1とすると、図10の関係式が得られる。
図10
床の光源から放射された光子の側面が、天井の鏡に到達するまでに、次図の距離ℓを移動する。その時間をt2とすると次図の関係式が得られる。つまり、ロケット内側で観測すると、光はLの距離を移動するが、ロケットの外で観測すると、光は長くなったℓの距離を移動する。光速度は一定なので、時間がゆっくり動いていると言うことになる。
ところで、光子の側面の先端は、光源から天井に向かって(Y軸方向)進行しているが、光子はそうではない。ここが、光は光源から天井の鏡に向かって(Y軸方向)進行していると言う現在の説明と異なる点である。それでは、距離ℓを光速度Cで割って時間を求めたのは、適切ではないのか?ロケットの外側で、ロケットの内側を見ると時間が遅れて見える点についてはどう考えるのか? それは、光源から光子が放射される間隔が広がる、つまり、波長が広がる、そのため時間が長くなると言うことで理解できるのである。
図11
ロケットの外側からロケット内を観測すると、時間だけでなく、長さも収縮する。このことをエネルギー体理論の光模型で説明すると、次の通りとなり、結局、「2.3長さの収縮」と同じ結論となり、同じγ因子が導かれる。この結果、エネルギー体理論の光子模型は、「時間の遅れ」だけでなく、「長さの収縮」も起こり、特殊相対性理論と矛盾しない。
図12
図13
図14
最も身近で、最も研究と利用が進んでいる光であるが、光は、今尚その最終形態が理解されていない自然界の基本要素である。しかし、エネルギー体理論の光子模型は、知られていなかった「光子の姿と運動」を明らかに描き出した。そして、同期した無数の光子を使って、光速度一定の原理に基づく特殊相対性理論まで説明できることを明らかにした。既に公表済みの記事により、エネルギー体理論の光子模型は、電子の運動による光子の発生から、力の伝達、粒子と波動の2重性、フェルマーの原理、特殊相対性理論まで矛盾なく適応することが明らかとなった。
光速度は、慣性系に拘わらず一定であり、光速度を超えて運動することができないという原理は、アインシュタインの相対性理論が説明するところである。エネルギー体理論の光子模型でも、光子が束として同期するため、光速度はCとして観測されることを示した。しかし、光子単体で見れば、光の速度は、「光速度C’ + 光子の速度Cp」となり、光速度Cを超える可能性がある。C’ + Cp > C なのか C’ + Cp < C なのか研究する必要がある。
ちなみに、光子単体で光時計を考察すると、次のとおりγ因子にCpが加わることになる。
次図は、ロケットに置かれた光時計の光源から光子がロケットの進行方向 (X軸方向)に運動を観測する場合である。Aはロケットの内側、Bはロケットの外側で観測している。光速度Cは、本来Y軸方向(床から天井)である。そのため、X軸方向(ロケットの運動方向)はC’で表すべきであるが、前節で説明したように、XY平面では同じ位置となるのでCとしている点に注意が必要である。電子遷移の運動エネルギー(空間に生じた波動)が、電子から分離して光子となる。そのため、光子は分離直前の電子の慣性運動を引き継いでいる。この慣性運動を「光子の速度Cp」と言い、エネルギー体理論で初めて発見されたものである。その時、光子の粒子部が先行し、裾野部は遅れる。この裾野部の遅れが、裾野部のしなりである。しなりが直るのに要する時間が、「光速度C」である。従って、光の速度は、「光速度C’ (図ではCとしている。)」と「光子の速度Cp」の合成速度である。(ここから、この説明は省略する。)
図15
図16